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2025/06/24

ビル管理士の資格と仕事内容とは?資格の取得方法や難易度を解説!

ビル管理士の資格と仕事内容とは?

ビル管理士は、大きな建物(ビルなど)を安全で快適に保つために、点検や管理を行う専門資格です。正式には「建築物環境衛生管理技術者」と呼ばれ、ビルメンテナンスの分野では上位資格として知られています。そのため、持っていると収入や転職の面で有利になることも多いです。

この記事では、ビル管理士の資格の内容や仕事内容、取得方法や試験の難易度について、わかりやすく紹介します。

・ビルメンテナンスについて詳しく知りたい方はこちらの記事で詳しく解説しています。
内部リンク:記事「ビルメンテナンス」を挿入

ビル管理士とは

ビル管理士とは

ビル管理士(正式名称:建築物環境衛生管理技術者)は、大規模な建物「特定建築物」の環境を安全で清潔に保つために、点検や清掃、設備管理などの衛生管理を行う専門資格です。

この資格が必要になる「特定建築物」とは、たとえば以下のような大規模な建物を指します。
・一般の建物:床面積が 3,000㎡以上
・学校:床面積が 8,000㎡以上

特定建築物にあたる建物には、ビル管理士の資格を持つ人を1人以上置くことが法律で定められています。

<特定建築物の例>
• 興行場(映画館、劇場、音楽会用のホール等)
• 百貨店等や大型スーパー
• 集会場(会議場、イベントホール等)
• 図書館、博物館、美術館
• 遊技場(ボーリング場、ダンスホール等遊技をさせる施設)
• 店舗
• 事務所
• 学校
• ホテルや旅館

また、ビル管理士の資格にはさまざまなメリットがあり、キャリアに有利に働きます。主なメリットは以下のようなものです。

<ビル管理士の資格を持つメリット>
・専門知識が身につき、現場で信頼されやすくなる
・昇進や転職に有利
・資格手当などによる収入アップが期待できる
・他の関連資格(例:電気主任技術者やボイラー技士など)にもつながる

建物の維持管理に関わる仕事は、今後も需要が高い分野です。特にビル管理士の資格は、業界内でのキャリアアップや転職時の武器にもなるため、取得する価値の高い資格といえるでしょう。

ビル管理士の仕事内容

ビル管理士の主な仕事は、特定建築物(大規模な建物)を安全で快適な状態に保つことです。建物の環境衛生を保つために、次のような幅広い業務を行います。

ビル管理士の主な業務内容

①設備の点検・保守
空調設備(エアコンなど)や、給排水設備(水道・排水など)の点検やメンテナンスを行います。不具合があった場合は、専門業者への連絡や修理の手配を行います。

②衛生環境のチェック
定期的に空気の質や水の状態を測定・検査します。ネズミや害虫などの防除対策(駆除や予防)も担当します。

③管理計画の立案と現場の指揮
年間の維持管理スケジュールを作成し、効率よく業務が進むよう調整します。清掃員や設備スタッフへの指示・監督もビル管理士の大切な役割です。

④行政対応
行政機関(例:保健所)の検査がある場合には立ち会い、必要な報告書や記録の作成も行います。
ビル管理士は、建物全体の衛生・安全・快適さを支えるキーパーソンです。日々の細かなチェックから、スタッフや行政との調整まで、幅広い視野と対応力が求められる仕事です。

ビル管理士の資格取得方法

ビル管理士になるには、以下のいずれかの方法で資格を取得する必要があります。
①日本建築物環境衛生管理教育センターが行う講習会の課程を修了した者
②毎年1回実施される厚生労働大臣が行う筆記試験に合格した者
それぞれについて見ていきましょう。

①日本建築物環境衛生管理教育センターが行う講習会の課程を修了し資格を取得する場合

公益財団法人「日本建築物環境衛生管理教育センター」が実施する
建築物環境衛生管理技術者講習会」を修了することで、資格が取得できます。
この講習は以下のような内容で構成されており、約101時間かけて、ビル管理に必要な専門知識を体系的に学びます。

講習内容(全7科目):
・建築物衛生行政概論
・空気環境の調整
・給排水の管理
・清掃
・害虫防除
・建築物の構造
・その他、建築物管理に関する知識

空調・水まわり・害虫対策など、ビルを快適かつ衛生的に保つ知識がまとめて学べるのが特徴です。
ただし、受講には学歴や実務経験の条件を満たしている必要があります。

主な受講条件には次のようなものがあります。

大学の理学や医学、歯学などの課程を卒業した場合、特定建築物(延べ面積3000㎡以上)の環境衛生維持管理に関する実務経験が1年以上必要
短期大学、高等専門学校の理学、医学、工学等の課程を卒業した場合、特定建築物(延べ面積3000㎡以上)の環境衛生維持管理に関する実務経験が3年以上必要
高等学校の工業関連学科を卒業した場合、特定建築物(延べ面積3000㎡以上)の環境衛生維持管理に関する実務経験が5年以上必要

詳しくは以下の表をご覧ください。

ビル管理士の講習会 受験条件

また、特定の資格を保持している場合、受講できる条件が変わります。
主な保有資格と受講条件は次のようになります。

医師や一級建築士の資格を保持している場合、特定建築物(延べ面積3000㎡以上)の環境衛生維持管理に関する実務経験が不要
・第一種冷凍機械責任者免状の資格を保持している場合、特定建築物(延べ面積3000㎡以上)の環境衛生維持管理に関する実務経験は1年以上必要

詳しくは以下の表をご覧ください。

ビル管理士 特定の資格を保持している場合の受験条件

講習会は全国各地で開催されていますが、会場数や定員に限りがあるため、人気の会場では早い段階で満席になることもあります。希望の会場で受講するには、早めの申込がおすすめです。また、受講には129,000円(非課税・教材費込み)の費用がかかります。事前に費用や日程をしっかり確認しておきましょう。

②厚生労働大臣が行う試験に合格して資格を取得する場合 (いきなり試験を受けて資格を取る方法)

講習を受けずに、厚生労働省が実施する試験に合格して資格を取得する方法もあります。この試験は、年に1回(例年10月の第1日曜日)に実施され、全部で7科目・180問が出題されます。

出題されるのは次のような科目です:
・建築物衛生行政概論
・建築物の構造概論
・環境衛生
・空気環境の調整
・給水および排水の管理
・清掃
・ねずみ・昆虫などの防除

なお、受験するには「特定建築物での衛生管理の実務経験が2年以上」という条件を満たしている必要があります。
受験料は13,900円(非課税)です。

どんな試験問題が出る?

試験は午前・午後の2部構成で行われ、全7科目から180問が出題されます。形式はマークシートによる選択式です。
内容は、建築物衛生行政概論や構造概論、環境衛生、空気環境の調整、給排水管理、清掃、ねずみ・昆虫防除など、実務に直結する知識を幅広く問われます。

暗記中心の問題が多いですが、空調設備の計算問題や図表の読み取りなど、実務的なスキルが求められる問題も含まれます。
とくに、空調設備の計算問題や建築構造に関する専門的な内容は、実務経験者でも難しく感じることがあるため、しっかりとした対策が必要です。

ビル管理士の試験の合格率

ビル管理士の試験の合格率

ビル管理士試験の合格率は、ここ数年で20%前後となっており、国家資格の中でも難しい部類に入ります。
以下は、最近の合格者と合格率です。

ビル管理士の試験の合格率(令和3年度〜6年度)

合格率が低めな理由は、2つの条件をクリアしなければならないためです。
・全科目合計で65%以上の得点(180点中117点以上)
・各科目ごとに40%以上の得点

つまり、どれか1科目でも極端に点数が低いと不合格になるので、バランスのよい学習が求められます。

ビル管理士の資格の勉強方法

ビル管理士の資格の勉強方法

ビル管理士の資格は範囲が広いため、効率よく勉強することがポイントです。

ビル管理士の資格取得のためのおすすめの勉強法は、
過去問を繰り返し解く
→ 出題の傾向がつかめるうえ、苦手分野の発見にもつながります。

苦手科目を重点的に対策
→ 7科目すべてで40%以上の得点が必要なため、苦手を放置しないことが大切です。

おすすめの参考書は、
「ビル管理士試験模範解答集(赤本)」
 → 日本教育訓練センターが発行。過去問中心で試験対策に使いやすいです。

「ビル管理技術者試験問題集(黒本)」
 → オーム社発行。苦手科目の理解を深めたい人におすすめです。

独学が難しい・不安な人は、eラーニング講座や専門の講習会を活用するのもおすすめです。前述の「建築物環境衛生管理技術者講習会」は、体系的に学べるため、初学者にもぴったりです。

ビル管理士はビルメンテナンス分野の最高峰の国家資格

ビル管理士は、ビルや大規模な建物を安全・快適に保つための維持管理を担う国家資格です。正式名称は「建築物環境衛生管理技術者」といい、ビルメンテナンスの仕事の中でも最上位の資格とされています。

この資格を持っていると、
・待遇がよくなる
・転職やキャリアアップに有利
といったメリットも多くあります。

将来的にビル管理の専門職として働きたい人にとっては、目指す価値のある資格といえるでしょう。

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この記事の執筆者

建設人材バンク編集部
建設、設備業界専門の転職エージェントサービス「建設人材バンク」の編集部です。建設、設備業界の転職に役立つ情報をわかりやすくまとめてお届けします。
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