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2025/06/18

施工管理技士とは?仕事内容から資格の取得方法や難易度を解説!

施工管理技士とは?

施工管理技士とは、建築工事のスケジュールや安全、品質などをまとめて管理する仕事で、国家資格の1つです。工事現場で技術面の責任を担う重要な立場ですが、実際にどんな仕事をしているのか、どうやって資格を取るのか、よくわからない方も多いかもしれません。

この記事では、施工管理技士の概要から、仕事内容、資格の種類や取得方法、合格の難易度について、わかりやすく解説していきます。

・施工管理技士の仕事について詳しく知りたい方はこちらの記事で詳しく解説しています。
施工管理の仕事内容とは?具体的な業務や求められるスキルについて解説!

施工管理技士とは

施工管理技士とは

施工管理技士とは、建設工事の現場で安全・品質・工程・原価を一手に管理する仕事です。例えば、資材の準備や作業員の配置、進み具合のチェックを行い、予定どおりに工事が終わるように全体を調整します。

また、現場で問題やトラブルがあれば改善策を提案し、関係各所と連携しながら作業内容や計画を修正します。高い場所での作業や重機の使用時には、事故が起きないように安全対策も行います。作業員が安全に働けるようサポートするのも、大切な役目です。

施工管理技士は、まさに「現場の指揮者」として、建設現場をリードする存在と言えるでしょう。

施工管理技士の資格の種類

施工管理技士の資格は専門分野ごとに7つの種類があり、それぞれの資格で扱う工事の種類が異なります。また、いずれも1級と2級に分かれており、受験資格は基本的に共通しています。

施工管理技士の7つの種類は以下のとおりです。

建築施工管理技士
・土木施工管理技士
・電気工事施工管理技士
・管工事施工管理技士
・造園施工管理技士
・建設機械施工管理技士
・電気通信工事施工管理技士

ここでは、各資格で担当できる業務や特徴について解説します。

建築施工管理技士(1級・2級)とは

建築施工管理技士は、施工計画の策定から工程管理、品質検査、安全管理、そして竣工図面(工事が完了した時点の状況を図面に表したもの)の作成まで幅広い業務を担当する資格です。
例えば、建物の土台となる基礎工事や、建物の骨組みである躯体(くたい)工事、内装の仕上げ作業まで、すべての段階を見渡して現場を動かすのが仕事です。

<建築施工管理技士の1級と2級の違い>
建築施工管理技士の1級と2級では担当できる工事の規模が異なります。また、1級は大規模工事の現場で必須となる監理技術者としての役割を担うことができるなど、役割にも違いがあります。

建築施工管理技士-1級・2級の違い

<建築施工管理技士の特徴>
1級の資格を取得すると、4,500万円以上(建築一式工事では7,000万円以上)の大きな建築工事の責任者(監理技術者)として働けるようになります。

また、大手の建設会社やハウスメーカーでは、管理職への昇進条件になっていることも多く、月に2〜5万円ほどの資格手当がつくケースもあります。

年収で見ると600〜800万円台のポジションを目指せるため、キャリアアップを考えるうえでも大きな武器になります。

土木施工管理技士(1級・2級)とは

土木施工管理技士は、道路・橋梁・ダムなどの公共インフラ整備を担当できる資格です。主な業務としては、土木工事の施工計画作成、重機の運用管理、測量業務、品質管理などが挙げられます。

<土木施工管理技士の1級と2級の違い>
土木施工管理技士の1級と2級では扱える工事の規模が異なります。1級はダムや橋梁、トンネルといった大規模な構造物を含めたすべての工事現場で監理技術者として活動することができますが、2級は特定分野に限定されます。

土木施工管理技士-1級・2級の違い

<土木施工管理技士の特徴>
土木施工管理技士の資格を取得すると、公共工事を受注する際に有利になるほか、会社内での昇進やキャリアアップにもつながります。また、インフラ整備の仕事は景気に左右されにくく、安定した需要があるのも魅力の1つです。

電気工事施工管理技士(1級・2級)とは

電気工事施工管理技士は、電気設備に関わる工事を計画・管理するための国家資格です。
たとえば、変電所の工事や通信インフラの整備、建物内の電気配線工事などを、安全かつスムーズに進める役割を担います。具体的な業務には、電気設備の工事計画を立てたり、配電盤や照明の設置工事を管理したりすることが含まれます。

<電気工事施工管理技士の1級と2級の違い>
電気工事施工管理技士の1級と2級も扱える工事の規模と役割が異なります。1級では大型商業施設や工場などの大規模な工事で全電気設備の管理を行えますが、2級では中小規模の建築物に限定されます。

電気工事施工管理技士 1級・2級の違い

<電気工事施工管理技士の特徴>
電気工事施工管理技士の資格を取得すると、電気工事に関する専門知識があることの証明になり、給料アップや転職時の交渉材料として有利に働くことがあります。さらに近年では、省エネ機器やスマート設備へのニーズが高まっているため、資格保持者の需要も増えており、就職・転職市場での強みになるでしょう。

・電気工事施工管理技士について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
内部リンク:記事「電気工事施工管理技士」を挿入

管工事施工管理技士(1級・2級)とは

管工事施工管理技士は、水道、ガス、空調設備などの配管工事を管理できる資格です。主に、エアコンや給排水・トイレなどの設備に使われる配管の設計・施工管理を行います。
最近では、BIM(建築情報モデリング)を使った設計や管理も進んでおり、最新技術に対応できる分野でもあります。

<管工事施工管理技士の1級と2級の違い>
管工事施工管理技士の1級はビルなどの大規模な工事で監理技術者として従事できますが、2級は戸建て住宅など中小規模の工事に限定されます。

管工事施工管理技士 1級・2級の違い

<管工事施工管理技士の特徴>
管工事施工管理技士の資格を取得すると、専門的なスキルがあることの証明になり、会社内での昇進や転職のチャンスも広がりやすくなるでしょう。水道や空調などの配管工事は私たちの生活に欠かせないインフラなので、常に一定の需要がある安定した職業です。

造園施工管理技士(1級・2級)とは

造園施工管理技士は、公園や庭園のデザイン・工事を管理するための国家資格です。
主な仕事は、都市の公園、ショッピングモールの緑地、ゴルフ場などの植栽計画や、外構(エクステリア)工事の指揮をとることです。

<造園施工管理技士の1級と2級の違い>
造園施工管理技士の1級と2級の違いは、他の施工管理技士と同様、扱える工事の規模と役割になります。1級は都市公園などの大規模工事を扱うことができ、監理技術者を担えますが、2級は扱える工事が一定規模以下となります。

造園施工管理技士 1級・2級の違い

<造園施工管理技士の特徴>
造園施工管理技士の資格を取得すると、造園工事の専門知識と実務力を証明できるため、造園業界でのキャリアアップに直結します。
さらに近年では、SDGsや都市の緑化事業などの需要増加により注目度が上昇中。環境系のコンサルティングや行政とのプロジェクトなど、幅広い分野で活躍の場が広がるのも大きな魅力です。

建設機械施工管理技士(1級・2級)とは

建設機械施工管理技士は、建設現場で使用される各種重機や機械の運用・管理を担える資格です。具体的には、重機の適正配置・メンテナンス計画策定・特殊車両通行許可手続きなどを担い、機械の選定や運用計画の作成、安全管理なども行います。

<建設機械施工管理技士の1級と2級の違い>
建設機械施工管理技士の1級は、重機を多用する大規模工事において監理技術者として働くことが出来ますが、2級は規模が限定されます。

建設機械施工管理技士 1級・2級の違い

<建設機械施工管理技士の特徴>
建設機械施工管理技士の資格を取得すると、高度な建設機械の取り扱いスキルや管理能力を証明できます。
近年ではICT建機や自動化技術の導入が進んでいることから、資格の価値がさらに上昇中。
特に大規模な工事では不可欠な存在であるため、現場での評価が上がり、給与アップやポジション向上にもつながる資格です。

電気通信工事施工管理技士(1級・2級)とは

電気通信工事施工管理技士は、デジタル社会で重要な通信インフラの構築を担う資格です。有線・無線通信設備の設置や保守管理を行い、5G基地局整備・光ファイバー網構築・LANや防犯カメラの設置など、通信インフラ工事と管理が主な業務です。

<電気通信工事施工管理技士の1級と2級の違い>
電気通信工事施工管理技士の1級は、データセンターなどの大規模な工事において監理技術者として働くことができますが、2級は一般建設業の現場に限定され、主任技術者として働くことができます。

電気通信施工管理技士 1級・2級の違い

<電気通信施工管理技士の特徴>
電気通信工事施工管理技士の資格を取得すると、幅広い電気工事に関する知識があることを証明できます。また、現場では、監理技術者や主任技術者として工事現場の統括業務も可能です。
企業のDX化を含め、デジタル化が進む現代社会において通信インフラの重要性は今後も増すため、資格としてのニーズが高まっていくでしょう。

施工管理技士の資格を取得するメリット

施工管理技士の資格を取得するメリット

施工管理技士の資格を取得すると、主に以下の4つのメリットがあります。

• キャリアの可能性が広がる
• 収入アップが期待できる
• 長期的に就業しやすい
• 企業の価値向上に貢献できる

施工管理技士の資格を持つことで、まず「監理技術者」や「主任技術者」などの責任あるポジションに就くことができ、建設業界でのキャリアの選択肢が大きく広がります。

また、資格を取得することで収入アップが期待でき、多くの企業では資格手当が支給されます。1級の場合、月1万円〜5万円、2級で月5,000円〜2万円程度の資格手当が支給されることが一般的です。

近年は高齢化が進み引退する人が増えており、施工管理技士の需要は高まっています。そのため、施工管理技士の資格を持っていると、長期的に就業しやすく、60代・70代でも現場で活躍できる職業です。現代のように転職が一般的になった時代でも、生涯働き続けることができる数少ない職業です。

また、企業にとっても施工管理技士が在籍していることは大きなメリットです。公共工事の入札では、施工管理技士の資格保有者数が経営事項審査の評価に影響し、企業の技術力を示す重要な指標となります。そのため、資格保有者がいることで、企業の信頼性が向上し、受注のチャンスを増やすことができます。

施工管理技士の受験資格と難易度

前述のとおり、7種類の施工管理技士には1級と2級があり、資格を得るにはそれぞれの施工管理技術検定に合格する必要があります。
施工管理技術検定は、いずれも第一次検定(学科)と第二次検定(実地)に分かれており、それぞれで受験資格が決められています。
尚、受験資格は7種の施工管理技士で共通しています。

<2級の取得方法と難易度>
2級の第一次検定(学科試験)は、17歳以上なら受験可能です。試験では、建築学や法規などの基礎知識が問われるため、体系的な学習が必要になるでしょう。

第一次検定に合格後、資格別に一定の実務経験を積み、第二次検定(実地試験)を受験します。この実地試験では、現場での実務経験が試されるため、実践的な準備が求められます。

過去5年の合格率は、第一次検定が38~50%程度、第二次検定が32~53%程度です。約半数が不合格になる難易度になっているため、しっかりとした試験対策が必要です。

<1級の取得方法と難易度>
1級の第一次検定は、受験年度末時点で満19歳以上であれば受験可能です。 試験はマークシート形式で、建築学・施工管理法・法規などに関する知識が問われます。合格するには、全体の正答率60%以上と、応用能力問題のうち10問中6問を正解しなければなりません。
第二次検定では、2級よりも高度な現場経験が求められ、試験内容も難易度が高くなります。

1級の過去5年の合格率は、第一次検定が36%~51%、第二次検定は41%~52%程度です。 国家資格の中では標準的な難易度と評価されていますが、合格率は半数以下で、十分な試験対策が必要です。

なお、受験資格は学歴によって求められる経験年数が異なる場合があるため注意が必要です。

また、厚生労働省が認定する技能検定に合格している場合は、所定の資格と実務経験を満たせば受験が認められるケースもあります。

保有している資格によっては一部検定が免除されることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
詳しくは、検定を実施している機関のサイト(建築土木電気工事管工事造園建設機械電気通信工事)をご確認ください。

補足情報として、令和6年度(2024年度)から施工管理技士技術検定の受験資格が改訂されています。 第一次検定・二次検定の改訂された部分を表にまとめました。

施工管理技士第一次検定・第二次検定の改正点

また、2級合格者が1級を受験する場合は、2級合格後に5年以上の実務経験が必要になる点も追加要件となります。

施工管理技士-取得までの流れ(改正前)
施工管理技士-取得までの流れ(改正後)

施工管理技士の資格の勉強方法

施工管理技士の資格の勉強方法

施工管理技士の試験の勉強方法は、第一次検定(学科)に関しては、1級・2級ともに過去問を繰り返し解く方法が有効です。第二次検定(実地)では、これまでの実務経験を振り返り、関わったプロジェクトや具体的な役割、成果を整理しておくことが重要です。

実務経験が少ない場合は、専門用語や現場の流れを理解するために、通信講座やEラーニング教材を活用するのが効果的です。視覚的に学べる教材は、初心者にも理解しやすく、独学に比べて学習の負担を軽減します。特に1級は出題範囲が広いため、施工管理技士に特化した講座を受講することをおすすめします。

また、試験は学科と実地の2つに分かれていますので、両方を並行して対策することが大切です。実地試験では、受験者の施工経験を基にした記述問題(工事概要や課題解決策など)が出題されるため、自分の経験を文章化して練習しておくことが重要です。

自分のレベルや生活リズムに合わせた学習計画を立て、継続的に学習することが合格への近道です。

施工管理技士は建築工事の計画全体を管理する重要な仕事

施工管理技士は、建築工事全体の計画を管理・調整する重要な職種です。資格を取得することで、責任あるポジションに就けるだけでなく、収入アップのチャンスにも繋がります。さらに、需要が高いため、長期的に就業しやすく、企業にとっても価値のある人材となり、入札競争にも貢献できます。

現在、建設業界は人手不足で、特に高齢化が影響し施工管理技士が不足しています。そのため、今後さらに施工管理技士の需要が高まることが予想されますので、興味がある方は就職・転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者

建設人材バンク編集部
建設、設備業界専門の転職エージェントサービス「建設人材バンク」の編集部です。建設、設備業界の転職に役立つ情報をわかりやすくまとめてお届けします。
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